資本政策:資金調達の先にある長期の価値創造を俯瞰して捉える

資本政策とは

 

資本政策とは、株式の上場による資金調達の際に「資金調達の目的」「資金調達の額と発行株式数」「資金調達のタイミング」「株主構成のバランス」「オーナー経営者引退後の株式の取扱い」等について綿密な計画を事前にすることです。

 

ただし、資本政策を単に「株式上場による資金調達のための計画書を作成すること」と捉えると大きな危険を冒すことになります。

 

資本政策を策定するための事業計画書

 

資本政策を策定する際には、「事業として何をするのか」「いくら必要か」「どう調達するか」といった3つの点を考える必要があります。

 

最初に考える必要があるのは、事業計画書の作成です。事業計画書は、株式上場による資金調達に限らず、あらゆる資金調達方法において必要となるパスポートです。

 

事業計画書がなければ、資金を調達することは不可能です。またその内容により、資金調達額が左右されるのでとても大切な通過点であると言えます。

 

事業計画書には、今後のビジネスにおける「ビジョン」「目的」「ビジネスモデル」「戦略」「売上や利益の見積もり」を記載します。

 

事業計画書で記載した事業の目的達成のためには、「設備投資」「運転資本」「人材採用」といった資金に関する情報が必要となるため、必要な資金の金額やタイミングを把握します。
 
資本政策策定のポイント

 

資本政策の策定においてポイントとなるのは、「上場のための形式基準」をクリアすることと、「上場後の安定株主の確保」を視野にいれることです。

 

「上場のための形式基準」は、証券取引所で定められています。株式を上場するためには、この基準をクリアすることが大前提となります。主に、「時価総額」「利益の額」「募集・売り出し時の発行株式数と最低株主数」について基準が定められており、この基準は証券取引所によって異なります。

 

上場後の安定株主の確保」とは、株式上場後に、できるだけ株式を長期に保有する「安定株主」を拡大していくことです。

 

株式を上場するということは、新たに株主が増える為、既存の株主の持ち株比率が低下することになります。この時、短期売買による目先の利益獲得を目的にした株主ばかりを集めてしまうと、経営権が安定しなくなる可能性があります。

 

そのため、で「安定株主」をきるだけ多く集めることが大切です。このように経営を安定化させることを念頭に株主構成を検討します。

 

資本政策は長期的な価値創造のスターティングポイント

 

上記の様に、資本政策は事業計画書からの流れと整合性が取れていることが大切です。また、適切な資本政策を策定できれば、単に「一時的な資金調達のための計画」ではなく、「客観的」「長期的」「包括的」な視点で経営を捉えることができるきっかけとなります。

 

逆に適切な資本政策を策定できないと、「主観的に自社の事業の価値を高く見積もってしまう」「オーナーの短期的なキャピタルゲインを重視してしまう」といった思考に陥いる危険性があります。

 

資金調達は会社が成長するための手段の一つであり、目的ではありません。むしろ、スターティングポイントです。

 

株式上場による資金調達は、返済の必要のない資金を広く一般投資家から調達することが可能です。株式上場により、企業は成長の起爆剤となる資金を獲得するだけでなく、知名度が上がり、人材が集まるようになります。

 

資金調達後は、価値を持続的に生み出すことや収益性を意識した経営が求められてきます。そのため、資本政策を策定する際には、資金調達のその先にある長期の価値創造を俯瞰して捉えておく必要があります。