赤字をなかったものとする「粉飾」を見分けるポイント

  • 「粉」で「飾る」=粉飾

 

女性は顔の赤みが気になる場合、コンシーラーというお化粧品を使えば、表面上一瞬にして隠すことが簡単にできます。これは、誰かをだまそうとして行っているわけではないため、特に罪悪感を抱いて行っている人は少ないでしょう。

 

多くの働く女性にとって、お化粧をすることは、毎日のルーティンであり、毎朝顔を洗うくことと同じようにごく自然なことです。

 

会社の場合はどうでしょうか。経営者が赤字を出してしまった場合、いくつかの会計処理を操作することによって、決算書の書面上、一時的に隠すことが可能です。

 

最初は一時的な批判を逃れるために、ついやってしまったのかもしれません。しかし、粉飾は一度やってしまうと、もはや止めることができません。止めればすぐに数値(=顔)に出るからです。

 

そのうち、罪の意識もなくなり、粉飾をすることが当たり前となります。隠ぺい体質は、次の経営者へ遺伝することもあります。このような会社は、とても上手にお化粧をしているため、外からただ眺めているだけでは、「良い会社だな」と勘違いをしてしまいます。
 

  • 粉飾を見抜く2つのポイント

 

一方、粉飾をする企業の決算書には、いくつかの特徴があります。まずは2つの重要な点に絞って、お化粧の下にある本来の素顔に迫っていくことにしましょう。

 

粉飾が行われる際には、「売上を水増しして利益を大きく見せたい」「借金(=有利子負債)を少なく見せたい」という動機が働いています。実際に粉飾が行われているかどうかのヒントを得るには、売上や負債の対となる相手勘定の動きに注目する必要があります。

 

会社の決算書は、いくつもの仕訳をまとめたものです。仕訳とは、企業の事業活動を勘定科目を二つ以上組み合わせて記録した取引内容です。

 

例えば、商品が売れたとき、会計上は「売上」として記録されます。商品が売れると、「現金による受け取り」や「後日入金される売掛金」は、「売上」とセットとなる項目です。これを、相手勘定といいます。

 

このセットとなる勘定科目は、必ずバランスする関係にあるため、どちらか一方だけを増やしたり減らしたりすることはできません。そのため、売上の水増しを行う際には、パートナーである相手勘定も増えていることになります。

 

  • 売上の水増し

 

まず、売上の水増しに関しては、相手勘定である売掛金の増減を確認します。売掛金が過去との比較で異常に増えている場合などは注意が必要です。

 

特に、キャッシュフロー計算書において、利益が黒字であるにもかかわらず、本業による稼ぎを示す「営業キャッシュフロー」がマイナスになっている場合、まず売掛金の増加が原因ではないかを確認してみてください。粉飾しているかどうかの、一つのヒントになります。

 

キャッシュはウソを付けません。そのため、売上の水増しを行うパートナーとしては、会社が操作することのできる売掛金が選ばれるのです。

 

  • 借金を小さく見せる

 

もう一つ代表的な粉飾決算は、借金を小さく見せることです。企業にとって借金というのは、銀行などから調達した資金で、金利とともに元本の返済が必要な「有利子負債」のことを指します。

 

金利分の利息を毎期支払う必要があります。そのため、支払われた利息の額が、借り入れた金額との関係で整合が取れているかを確認します。具体的には、支払利息を借入金総額で割って、金利率を求めます。

 

もし、借金を小さく見せようと、過小に計上している場合は、この金利率が、正しく経常されている場合よりも大きくなります。会社の金利率が、業界標準金利率と比較して、非常に高い場合は粉飾の可能性を疑う必要があります。

 

実際の粉飾は、会計士であっても見抜けないような巧妙で複雑な手口を使って行われるケースもあります。

 

しかし、企業が開示している「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」を使うことによって、粉飾の危険性を前もって推測することは可能です。

 

粉飾には、かならずパートナー(相手勘定)の存在があります。そのパートナーが誰なのか、どのような動きをとっているのかに注意しながら、企業の素顔を探っていきましょう。