「棚卸回転期間」で見える企業の効率性と見逃せないポイント

  • 企業の収益性

 

企業が継続していく上で、価値を創造し、利益を高めていくことは必要不可欠です。ただし、利益が出ていればよいというわけではありません。企業のヒト・モノ・カネといった資源は無限ではないため、いかに「効率的」に企業の限られた資源を使って利益を高めているかも非常に重要となります。

 

これを「企業の収益性」といいます。企業の収益性は、「利幅」と「代金回収までのスピード」の二つの要素を見る必要があります。(下図参照)

 

 

 

  • 「代金の回収」までのサイクル

 

効率性を高めるということは、企業の「キャッシュの循環」を早めるということです。これを代金回収のサイクルとして下図にあらわしました。

 

企業が事業を行う上では、例えば製造業などの場合は、「仕入れ」「製造」「完成」「販売」「代金の回収」といったように、最終的なゴールである「代金の回収」までのサイクルがあります。

 


このサイクルの長さを短くすることが、キャッシュの循環を早めることになります。つまり、効率性が高いと判断されます。

 

  • 棚卸資産回転期間

 

例えば、上図の代金回収までのサイクルを構成するプロセスである「仕入れ」「製造」「完成」に関しては、「商品を仕入れてどのくらいの期間(日数・または月数)で販売できているか」という期間で「効率性」を確認することができます。

 

 

ただし、単にこの期間が短ければよいというわけではありません。期間が短いという事は、在庫切れの可能性も出てくるからです。もし、在庫が切れで商品が無く、販売機会を逃してしまえば、利益を高めることはできません。

 

この、「商品を仕入れてからどのくらいの期間(日数・または月数)で販売できているか(=在庫となっている期間)」を測る指標を、「棚卸資産回転期間」と言います。なお、在庫は、会計上「棚卸資産」と呼ばれています。棚卸資産には、販売目的で所有する「材料」「仕掛品」「製品」「商品」などが対象となります。

 

棚卸資産回転期間(月数)=棚卸資産÷(売上原価÷12)

 

棚卸資産回転期間(日数)=棚卸資産÷(売上原価÷365)

 

これは、上図のサイクルの内、最初の3つのプロセスの長さについて、関連する財務情報である「棚卸資産」と「売上原価」を使って算出したものです。

 

  • 分析のポイント

 

算出された棚卸資産回転期間を、業種平均や、企業の過去の複数年度の数値と比較します。業種平均よりも長かったり、過去の数値との比較から期間が延びている場合は、「商品が売れてないのではないか」「品質劣化や陳腐化がおきているのではないか」などを疑う必要があるでしょう。

 

投資家が企業を評価する上で重要なことは、企業経営者が「企業の収益性を高めるために、代金の回収までのスピードを高めることの重要性を認識しているかどうか」「在庫水準の妥当性をどのように把握し、管理しているか」を確認することです。

 

また、この棚卸資産回転期間を短くするために、実際に企業がどのような取り組み・努力をしているのかにも目を向ける必要があります。

 

例えば、製造プロセスにおいて、「生産能力のより高い機械を導入するなどの設備投資を行う」「工場の製造ラインを圧縮して、プロセスにかかる時間を短縮する」など、財務情報だけではなく、記述による情報を「つなげて」捉えることが大切です。

 

以上のように、「棚卸資産回転期間」など「効率性の指標」を扱う際には、全体のサイクルにおける位置づけを確認します。そして、収益性とそれを高めるための全体的なつながりを理解し、分析に役立てていきましょう。