長期投資家の社会的責任と意義短期的投資の問題点

社会的責任

現在では、組織にも個人にも「社会的責任」を果たすことが求められています。投資家にとっては、社会的責任を果たす上で、企業価値を適切に評価するための「長期的視点」が必要です。長い目で企業を評価するのです。このように、企業の株式を長期に保有する投資家の事を長期投資家と呼んでいます。

「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットも長期投資家です。2015年の世界長者番付では第3位(1位はビル・ゲイツ)と、多額の株式投資の結果、経済的にも社会的にも大きな成功を収めています。

バフェットが投資する際の判断基準は、投資対象企業について将来20年の正確な未来図が描けるビジネスであるかどうかです。「長期」といった場合に、明確な期間の定義はありませんが、20年というのは一つの目安になるでしょう。

短期の投資家とその影響

長期投資家がいる一方で、短期投資家も存在します。短期投資家とは、長期投資家とは逆に、株式の保有期間が短い人のことを言います。

世界的にみて、投資家には短期志向的な面が存在すると指摘されています。短期志向とは、単に株式の保有期間が短いというだけではありません。企業の短期の業績(主に財務的な業績)に目を向けて投資判断を行うことです。

例えば、2009年に起きた世界的な金融危機(通称、リーマンショック)は、投資家の短期志向が一つの原因であったとされています。その後、企業の業績悪化、景気の悪化と投資に直接関わらない消費者ですら大きな影響を受けることになりました。

投資家の短期志向を是正し、長期投資家の層を厚くするためには、いくつかの構造的な問題を解決する必要があります。

投資家自身の評価が短期的なものさしで測定される以上、長期投資家に転換するインセンティブが無い、というのは一つの問題です。

また、株式の売買による手数料収入をメインの収益源としている証券会社では、短期でいかに売買の取引を高めることを促すかが目的化されている場合なども、長期の視点を持つことが難しい状態です。

そして企業に対して、投資家が長期の資金を供給しリターンを得ることに対する確信が持てる情報を要求する必要もあります。例えば、長期ビジョン、戦略的目的、戦略的目的を達成するための道筋などです。つまり、バフェットの言葉を借りれば「未来図」を明確に理解するためのコミュニケーションが必要です。

株式投資から得られるリターンと投資家の役割

このような構造的な問題は別途解決していく必要がありますが、本来、株式投資から得られるリターンは大きく二つ(キャピタルゲインとインカムゲイン)あります。その二つを合わせたトータルリターンで評価することが重要です。

キャピタルゲインとは、株式の売買によって得られる売却益のことです。株価の価格差によって得られる一時的な収入です。一方、インカムゲインとは、株式を保有する期間に生じる収入であり、配当や利子などがこれに該当します。これは、継続的な収入だといえます。

短期的な視点から長期的な視点に転換し、長期的な投資からリターンを得られるようになるには、投資家において、企業を長期的に応援するというスタンスが必要です。また業績は変動するのが当たり前であり、その都度ごとに投資家は忍耐が求められます。

長期投資家が増えることにより、企業は安定した経営を行うことができるようになります。また投資家も長期的な投資からリターンを得られれば、互恵的な関係を築く仕組みができるだけでなく、投資を通じた社会的責任を果たすことができるようになります。