企業価値の測り方:価値と価格を見極める

企業価値とは

 

会社の価値は、「企業価値」という共通の言葉で語られています。しかし、同じ「企業価値」という言葉を使いながら、人によって異なる意味を指している場合があります。「価値」というものの概念が、徐々に変わりつつあるのです。

 

企業価値を測定する上での一つの考え方は、「もしA社を丸ごと手に入れたいと思ったときに支払うべき金額はいくらか」といったものになります。この金額を算出するためには、いくつか計算方法があります。例えば、以下のようなものです。

 

企業価値 = ネット有利子負債 + 株式時価総額

 

企業は、主に銀行や株主から資金を調達しています。銀行から借りている資金は、いずれ利息を付けて返済しなければならないもので、会計上の「負債」に分類されます。また、株主から預かった資金は、返済義務のない資金であり、会計上の「株主資本」に分類されます。

 

企業へ資金を提供することによって、銀行は融資した金額である元本とそれにかかる利息を回収する権利があります。また株主も株数に応じて配当を受け取る権利があります。株主がこの権利を受け取るために支払う金額は、株価に株数を掛けたものになります。

 

この計算式では、A社に対して「その時点での全ての評価額」である時価に換算して合計したものが企業価値になります。

 

企業の将来性は反映されているか

 

株価には企業の将来性が反映されていると言われています。しかし、株価を形成する要因には、「投資家の売買動向・投資家心理」「景気・為替といった外部要因」があります。市場の参加者の群衆心理や駆け引きに左右されたり、影響を受けたりすることも多いと言えます。

 

将来性が適切に反映されていないと、誤った企業価値が算出されてしまいかねません。例えば人の価値を「その人の現時点での年収」で測定しているようなものです。これは、短期的で限定的な測定方法であると言えます。

 

年収は、人が企業に提供する労働に対して支払われる価格です。当たりまえですが、その人全体の価値を表しているわけではありません。同じように、企業価値を算出するときの計算式を見ると、価値ではなく価格である場合があります。

 

価値と価格は違う

 

「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは、「価格は支払うもので、価値とは得るものである」と「価格と価値の違い」について述べています。得るものは人によって異なるため、価値を定義することはなかなか難しい状況です。

 

しかし、企業と投資家のコミュニケーションツールである統合報告においては、価値について二つ側面から捉えるアプローチが紹介されています。

 

一つは、「組織に対して創造される価値」です。これには、まず企業が事業活動から得る「売上」「利益」などの財務的な価値があります。そして、「経営者の能力」「人材のもつイノベーション力」といった金額に換算できないものも含みます。

 

二つ目は、「他者に対して創造される価値」です。これは、企業が提供する製品やサービスを通じて企業の外部の重要なステークホルダーが得る「安全」「満足感」といったものが含まれます。

 

また、株主・投資家であれば、配当などの金銭的な価値があります。さらには、経営者の能力が高く誠実であれば、投資を行う上での「信頼感」「安心感」を得ることができます。

 

株主・投資家は長期的な視点で、企業を包括的に捉え、価値を見極めていく必要があります。