PBRとPER:株価の割安度を2つの側面から確認する

株価の割安度を確かめる指標とは

 

会社の株価を調べると、一般的に参考指標としていくつかの指標が現れます。特に代表的な指標が「PBR」と「PER」です。これらの指標は、企業の株価が割安かを判断する目安となるものです。

 

企業を評価する際は、「財政状態」と「経営成績」の2つの側面から見る必要があります。財政状態とは、「どのように資金を調達し、運用しているか」を表すもので、これは貸借対照表で確かめることができます。

 

また、経営成績とは、「企業活動を通じてどのくらい儲かったのか」を表すもので、これは損益計算書で確かめることができます。

 

これを個人で例えると、財政状態とは、その人がどのくらいの資産や遺産があるかということです。一方、経営成績とは、その人がどのくらい稼ぐことができるか、つまり年収に置き換えることができます。

 

財産・遺産もたっぷりあり、本人の稼ぐ力も高いという人もいます。また、遺産はあっても収入はないという人もいますし、財産・遺産はないけれど、年収の高い人もいます。

 

そのため、企業を評価する際は、財政状態と経営成績の二つの側面から評価することが大切です。さらに、これらの結果と株価を比較し、株価が「割安」か「割高」かを判断します。この時使われるのが、PBRやPERです。

 

PBRとPER

 

PBRはPrice Book-Value Ratioの略で、日本語では「株価純資産倍率」となります。一方、PERはPrice Earning Ratioの略で、「株価収益率」と訳されています。

 

経営指標や株価指標には、PBRやPERといったアルファベット3文字の指標が多く使われる為、混乱することがあります。この2つは、真ん中の一文字しか違いがないため、注意してみてください。

 

PBRのBは資産価値を意味するBook-ValueのBです。Bが付くほうは、「財政状態と株価」を比較して割安度を見ます。

 

一方、PERのEは収益を意味するErningのEです。Eが付くほうは、「経営成績と株価」を比較して割安度を測ります。

 

PBRは、財政面から株価の割安度を確かめるものです。そこで、株価に発行済み株式数をかけた「時価総額」を、資産と負債の差額である「純資産」で割ることによって、「株価は純資産の何倍の値段がついているのか」を確認します。これは、「株価÷1株当たり純資産」と同じです。

 

PBRが1倍以下であれば割安、1倍以上であれば割高であると判断されます。

 

例えば、純資産が100億円で、時価総額が200億円の場合、200÷100=2倍の価格がついていることになり、割高となります。逆に時価総額が80億円、純資産が100億円であれば、80÷100=0.8倍となり、割安であると判断されます。

 

資産の観点(PBR)からは、割安だということが分かりました。次に、収益性(PER)からも株価の割安度を見ていきます。

 

PERは、企業が生み出した利益と株価を比較して、「株価は利益の何倍の値段が付けられているか」を確認します。PERは、時価総額を当期純利益で割ることにより計算します。これは、「株価÷1株あたり利益」と同じです。

 

PBRは、その数値が「1倍以下であれば割安」という明確な判断基準があります。一方、PERは「各企業の過去からの水準」「業界水準」「期待する利回り」などによって異なるため、明確な基準というものはありません。

 

企業の過去複数年度におけるPERを計算し、過去の水準と比較したり、日経平均と比較をして、判断することも一つの方法でしょう。

 

期待する利回りの観点から割安かを判断することについては、少し詳しい説明が必要です。

 

実際の株価に対してどの程度の収益を上げているかを表す利回りの大きさを「株式益利回り」といい、これは「1株あたり利益÷株価」で求められます。例えば、1株あたり利益が500円、株価が10,000円であれば、株式益利回りは500円÷10,000円=5%になります。

 

そしてPERは、10,000円の株価に対して1株あたりの利益が何倍あるかを計算したものであるため、「株価÷1株あたり利益」を計算すると、10,000円÷500円=PER20倍ということになります。

 

つまり、「株式益利回り」と「PER」の計算式を見てわかる通り、これらは同じものを二つの側面から見ているだけにすぎません。

 

その為、期待する利回りが仮に5%である場合、上記の計算の通り、PERが20倍以下であれば割安と判断することができます。その逆も同様で、PERが20倍である場合は、期待する利回りが5%以下であれば割安ということができます。

 

数値に対して疑問を持つ・仮説を立てる

 

PBRとPERは、企業の株価が「割安か」を判断する上で、広く使われているポピュラーな指標です。ただし、これらの数値が「目安よりも低ければよい」と反射的に判断することは危険です。

 

例えば、PBRが1倍以上の会社でも、調達した資金の割合の内、株主からの資金である株主資本の割合が高く、銀行からの借り入れ(借金)が少ないのかもしれません。このような場合は、PBRが1倍を超える高い水準であっても、安全性は高い会社かもしれません。

 

またPERが高い場合でも、たまたまその年の利益が低かっただけということもあります。

 

このようなケースもあるので、特に長期にわたって投資を行う場合には注意が必要です。そのような場合、過去複数年における数値の比較からトレンドを押さえ、数値に対して「なぜそのような水準であるのか」ついて疑問をもったり、仮説を立てることが大切です。

 

また、「企業がどのようなポリシーで資金を調達しているのか」「今後どのような戦略やビジネスモデルで事業を展開していくのか」といった定性的な情報と合わせて株価の動きを予測するとよいでしょう。