4つの売上高利益率で収益構造の全体像を捉える

  • 4つの利益

 

「収益性」とは、「企業が効率的に儲けたか」を知るための観点です。つまり、企業の儲けである「利益」(=利益率)と、効率性をみるために販売から回収までのサイクルの長さ(=回転率)も確認する必要があります。今回は、利益率に焦点を絞ってみていくことにしましょう。

 

会社が儲けは、「利益」です。最終的な利益までの道筋をより分かり易くするために、その計算過程では、4つのポイントが段階的に設けられています。4つのポイントとは、「総利益」「営業利益」「経常利益」「当期利益」です。

 

 

「全体の売上を100とした場合の、各利益が占める割合」を求めたものが、「利益率」です。つまり、すべての利益率を計算する際の分母は、同じ売上の額となりますが、分子にくる利益の額が変わってきます。企業の決算書の一つである「損益計算書」があれば、簡単に計算することのできる指標です。

 

各利益を「率」で求めることにより、収益構造の全体像が理解しやすくなります。また、どのポイントで利幅が大きいのかを把握することができます。さらに、過去の数値との比較や他社比較を簡単に行うことができます。

 

  • 売上総利益率

 

売上総利益率=売上総利益÷売上高

 

売上総利益とは、売上高から「売上原価」だけを差し引いた後の利益です。売上原価とは、売れた分の商品の仕入れや製造にかったコストです。

 

これに、どのくらいの利益をのせて売上げているのか、その利幅を測るための指標です。そのため、「粗利率」とも呼ばれています。この数値が高いほど、付加価値の高い商品(=利幅の高い商品)を販売していることになります。

 

売上総利益率は、企業の提供する商品力やサービス力によって稼いだ利益を測る指標であると言えます。

 

  • 売上高営業利益率

 

売上高営業利益率=営業利益÷売上高

営業利益は、売上原価と販売費及び一般管理費の両方を差し引いた額です。これが、本業からの稼ぎがいくらかを表しています。売上高営業利益率を計算することにより、本業からの収益性を確認します。

 

売上高営業利益率は、商品力やサービス力に加え、営業力やブランド力といった本業の総合的な実力によって稼いだ利益を測る指標です。

 

  • 売上高経常利益率

 

売上高経常利益率=経常利益÷売上高

 

経常利益は、本業からの利益である「営業利益」から、本業以外の活動で得た収益(=「営業外収益」)や支払った費用(=「営業外費用」)を加減して求められる利益のことです。

 

営業外収益には、預け入れている銀行からの受取利息や株式投資による受取配当などが含まれます。一方、「営業外費用」には、銀行からの借り入れに対する支払利息や為替差損などがあります。

 

これは、企業の本業(=営業活動)だけでなく、資金の調達や資産の運用などの財務活動も加味して、企業の稼ぐ力である収益性を測るために求められる指標です。

 

  • 売上高当期利益率
売上高当期利益率=当期利益÷売上高

 

ビジネスを行っていると、通常の経営活動とは関係なく臨時的に発生する収益(=「特別利益」)や損失(=特別損失、または特損ともいう)が発生します。また、毎期法人税を支払う必要がります。当期利益は、これらの収益や損失を経常利益に加減し、さらに法人税額を差し引いて求めます。

 

特別利益は、例えば、有価証券売却益、子会社売却益、貸倒引当金差戻益などが含まれます。また、特別損失には、地震・火災などの自然災害による損失、訴訟による損失、有価証券の評価損失などが挙げられます。

 

以上のようにして、最終的な企業の利益が計算されます。また、当期利益は、株主への配当の原資となるため、売上高当期利益率は投資家にとって関心の高い指標であると言えます。

 

  • 収益性とは「利益率」と「スピード」の掛け算

 

以上の4つの利益率は、企業の収益性を確かめる一つの要素です。ここで注意しておかなければならないのは、企業の収益性は利益だけで測れるものではないということです。収益性は、「利益率」と商品を売って代金を回収するまでの「スピード」との掛け算だからです。

 

例えば、一杯のコーヒーの価格を他社に比べて3分の1に設定すると、粗利が低くなります。しかし、代金回収のスピードが速ければ数を多く販売することで絶対額を増やす(いわゆる薄利多売)、といった戦略をとっている会社もあります。そのため、利益率の高さだけで良し悪しを判断するのではなく、戦略の記述と合わせて数値をとらえることが大切です。