収益性分析には「利益率」だけでなく「回転率」も重要となる

  • 企業の「収益性」とは

 

収益性とは、「企業が効率的に儲けたか」を知るための観点です。つまり、企業の儲けである「利益(=利益率)」と、効率性をみるための、「商品を作る最初の段階から商品を販売し代金を回収するまでのサイクルの長さ(=回収サイクル)」を確認する必要があります。

 

収益性の判断において、利益率は高いほどよく、回収サイクルは短い(=回転率が高い)ほど良いとされます。この2つを縦軸と横軸にとったものが以下の図になります。

 

 

収益性の評価(高・中・低)は、マトリックス内の相対的な評価です

 

これは、例えば人の「身長」と「胴回り」に置きかけて考えてみると、以下の通りとなります。

 


収益性の観点からは、身長(利幅)が高く、ウエスト回り(回収サイクル)が短い引き締まった体型(企業)が一番よいとされます。一方、背が低く、メタボ気味な体型(企業)は、「身長(利幅)を伸ばす」か「ダイエットをする(回収サイクルを短くする)」などして、収益性を高めていく必要あります。

 

今回は、この胴回りである「回収サイクル」の長さについてのいくつかの指標を見ていくことにします。

 

  • 代金を回収するまでのサイクル

 

商品やサービスの代金を回収するまでの過程には、いくつかの工程があります。例えば製造業の場合、「材料の購入」「製造」「製品の完成」「販売」「代金の回収」などがあります。最終的な「代金の回収」までにかかる時間をいかに短くできるかが、収益性を高めるポイントとなります。

 

このサイクルが短いほど、より多くの商品やサービスを提供することができます。つまり、事業に投入した資金を効率的に運用しているということになります。これは、資本をどのくらいのスピードで回しているかを示す「資本回転率」という指標を使って確認することができます。

 

  • 資本回転率

 

資本回転率= 売上高 ÷ 資本

 

資本とは、投資家・株主が企業へ出資した資金のことです。投資家は、単に「企業が利益をだしているか(=売上高利益率)」だけでなく、「自ら出資した資金が効率的に運用されているかどうか(=資本回転率)」も確かめる必要があります。

 

そこで、重要となってくる指標が、これら2つの指標を掛け合わせた「総資本利益率」です。この指標により、収益性の総合力をみることが可能です。

 

  • 総資本利益率

 

総資本利益率=(売上高利益率) × (総資本回転率)
=(利益/売上高) ×(売上高/総資本)
=利益/総資本

 

この指標は、企業の収益性を把握する重要な指標です。しかし、過去の数値をベースに算出されていることからもわかる通り、企業の過去についての情報である点に注意して扱う必要があります。

 

収益性の高い企業であれは、投資家や情報利用者は今後もその水準を維持できる可能性があるのかを見極める必要があります。例えば、企業の強みや他社との差別化要因は何かを確認することが重要です。

 

一方、収益性が低いと判断された企業であっても、投資家であるなら今後回復する余地はあるのかを確認しましょう。その際にも、「利幅を高めるのか」「回収サイクルを短くしていくのか」といった2つの観点から、「今後企業がどこにお金を重点的に投入していくか」という戦略の方向性を確認するとよいでしょう。

 

以上のように、企業の収益性を見る際には、「利益率」だけでなく、「資本回転率」も重要な要素であることを認識して企業の分析に役立てましょう。