リスクは将来キャッシュフローに影響を与える極めて重要な情報

  • 企業のリスクは投資家にとって最も重要な情報の一つ

 

企業にとってのリスクは、企業が継続してビジネスを行い、持続的に価値を生み出していけるかどうかに大きな影響をあたえます。

 

リスクは、結果として将来キャッシュフローに影響を与えるため、投資家にとって極めて重要な情報の一つです。なぜなら、企業価値は、「将来キャッシュフローを現在価値に割り引いた総和」で求めるからです。

 

「リスク」という言葉から、多くの方はネガティブな状況や状態を連想します。たとえば、「ピンチ」「損」「危険」「不安」などです。

 

しかし、「危機」と訳されるリスクについて、ジョン・F・ケネディは、「危機という言葉は二つの漢字でできている。ひとつは危険、もうひとつは好機である。」と述べました。リスクとは、ネガティブな側面とポジティブな側面を含んだ概念です。

 

  • リスクをマネジメントする力を見る

 

そして、ビジネスにおける「リスク」とは、「不確実性」です。不確実性とは、「起こるか起こらないかわからないこと」です。リスクは低減できても、完全に排除することは不可能です。

そのため、「起こるか起こらないかわからないこと」が企業に与える影響の度合いや発生の確率を把握し、予測することで事前の準備を行っておくことが重要となります。これがリスクマネジメントです。

 

企業のリスクマネジメントに関する情報は、各社のホームページ、または、統合報告書(=企業の「長期の価値創造」について、「一つのつながりのあるストーリー」として分かりやすく伝達するための媒体)、有価証券報告書の「事業等のリスク」にて確認することができます。

 

例えば、リスクとして挙げられる事項には以下のようなものがあります。

 

「経済状況」:マクロ経済悪化など
「人材」:労務トラブルや優秀な人材を確保できないなど
「自然災害」といった地震や感染症など
「法規制等」:さまざまな規制に対する対応のための追加的費用が財務状況に影響を与える可能性など
「資金運用」:市場の不安定化や金利の上昇などによる資金調達の制約や資金調達コストの上昇など
「情報セキュリティ」:情報漏えいなど
「品質保証」:欠品やリコールなど
「環境保全」:大気汚染、水質汚染など
「後継者」:優秀な後継者の育成・確保など

 

  • リスクに関連する情報を見る際のポイント

 

リスクには、「内部のリスク」「外部のリスク」「国内のリスク」「国外のリスク」「業種特有のリスク」「企業固有のリスク」などがあり、その種類や範囲は企業によってさまざまです。

 

しかし、各企業の価値を創造する活動において重要なことが異なるため、リスクとして特定された事項とその重大性は企業によって変わってくるはずです。

 

投資家がチェックすべきポイントは、リスクとして特定された事項だけでなく「リスクとして決定された事項が重要なものに絞り込めているか」「リスクとして決定された事項の優先順位付けがなされているか」「リスクの決定プロセス」「戦略における資本配分への影響」も確認します。

 

企業のリスクマネジメントは、単に形式的なコンプライアンス対応の一部ではなく、戦略などの経営活動に実質的に融合されたものであることが大切です。

上記のような視点を踏まえ、「機会を活かす」企業と「機会を逃す」企業、また、「損失を回避(または低減・移転)する」企業と「損失を被る」企業を見極めましょう。