自社株買い:利益の分配はどのように行われているかを確認する

株主が受け取るリターンの種類

 

企業が事業を行う上で、必要な資金を提供してくれるのは、銀行や株主です。また、資金を提供したことに対するリターンは、資金提供者の種類によって異なります。

 

株主が受け取るリターンには、「配当金」「自社株買い」「売却益」「株式分割」「株主優待」などがあります。「配当金」や「自社株買い」は、会社が利益の一部を株主に還元するものになります。

 

また、「売却益」は株を安い時に買って高く売ることによる差額によるものです。

 

そして、「株式分割」とは、追加で資金を投じなくても自動的に保有している株数が増えるものです。例えば、株式分割が行われると、これまでの1株が10株になるということが起こります。

 

最後に「株主優待」とは、会社の行っているビジネスに関連した優待制度です。例えば、飲食会社が経営しているレストランのお食事券であったり、メーカーであれば自社製品などがあります。

 

今回は、株主が受け取るリターンの内、「自社株買い」について詳しく説明します。

 

「自社株買い」とは?

 

会社の業績が好調で充分な利益が出ている時には、その利益をどのように配分するかが、今後の企業価値を高めていく上で非常に重要となってきます。利益の配分方法としては、「事業拡大を見据えた長期投資」「株主への配当」「自社株買い」などがあります。

 

企業としては、持続的な成長のための長期投資を優先することが大切ですが、定期的に株主還元を行うこととのバランスが大切になってきます。

 

特に長期投資家をキープする上で、投資家の長期的なリターンを充実させた経営を行っていることを開示によりアピールすることが大切です。

 

自社株買いとは、既存の株主の持っている株式を、企業が市場から買い戻すことを指します。会社が自社株買いを行うと、買い取った分の株式数だけ発行済み株式数の総数が減ります。

 

つまり、既存の株主にとっては、配当金を分配するときの分母が少なくなるため、分配率が上がります。

 

例えば、これまでケーキを5人でわけていたところ、1人減り4等分すればよくなったため、一人当たりのケーキの大きさが増えるようなものです。

 

株主還元の観点から企業を評価するポイント

 

株主還元を「配当金」にするか「自社株買い」にするかは、企業が自社の株価を「割高」とみるか「割安」とみるかによって判断されることが一般的です。割高と判断している場合は「配当金」、割安と判断している場合には「自社株買い」を行う企業が多いです。

 

割安とは、株価が本来の価値よりも低いことを意味します。そのため、自社株買いを行うことで、経営者の「将来業績への自信の表れ」を示すことができます。

 

一方、配当にしても自社株買いにしても、自社への長期投資が減っている状況で行われていると、「将来の投資機会がないのでは」と投資家にネガティブに捉えられることもあります。

 

そのため、企業は利益の分配方法について「将来の事業拡大を見据えた長期投資」「株主への配当」「自社株買い」に関する基本ポリシーを開示することで、長期投資家の理解を得る必要があります。

 

つまり、長期投資家は、配当の金額や自社株買いの内容と頻度だけでなく、企業の開示している基本ポリシーと株主還元が整合しているか、といった観点からも企業の信頼性を評価する必要があります。