ビジネスモデル:従来型ビジネスモデルとの違い

国際統合報告フレームワーク(以下、「フレームワーク」)には、内容要素の一つとして,「ビジネスモデル」が含まれています。

ビジネスモデルは、「組織の戦略的目的を達成し、短・中・長期にわたり価値を創造することを目的に、事業活動を開始インプット類をアウトプット類及び成果類(=アウトカム)に変換するシステムである」とフレームワークでは定義されています。

フレームワークにおけるビジネスモデルの定義は、これまで広く一般的に使われてきたビジネスモデルと異なる部分があります。 以下、比較してその違いを確かめてみます。

従来の一般的な考え方では、ビジネスモデルは利益を生み出す「製品」や「サービス」に関する事業戦略と収益構造を示す用語として主に使われてきました。利益に焦点をあてた、収益モデルといういい方もできます。

一方、統合報告における考え方では、収益構造の前後にある「インプット」や、「アウトカム」といったことにも触れ、より包括的な価値創造のメカニズムの事を指しています。利益を含む様々な価値に焦点をあてた、価値創造モデルといういい方も当てはまるでしょう。

統合報告におけるビジネスモデルの構成要素は、大きく「インプット」「ビジネス活動」「アウトプット」「アウトカム」の4つです。フレームワークの開発の過程における初期の段階では、「インプット」「ビジネス活動」「アウトプット」の3つでした。「価値」という概念を議論するにつれ、「アウトカム」という概念がビジネスモデルに加わり、最終的には4つの構成要素になりました。

初期の開発段階におけるビジネスモデル

最終フレームワークにおけるビジネスモデル

ところで、Holmsは以下のような言葉を残しています。

“Organizations need profit in the same way human needs Oxygen but it’s not their reason for existing.”
人が酸素を必要とするように、組織には利益が必要だ。しかしそれは、存在する理由ではない。
-Shelly Holms

「組織」を意味する”Organization”には、臓器や器官を意味するOrganが含まれています。組織とは、まさに有機体、生命体のようなものでもあるので、確かにインプットやアウトプットの流れは、呼吸の働きによく似ています。

ビジネスモデルを説明する上で、インプットやアウトプットは必要です。しかし、それだけでは、組織の存在意義(レゾンデートル)や目的、価値を明らかにする為には十分ではありませんでした。そこでフレームワークで登場したのが「アウトカム」という概念なのです。