国際統合報告フレームワーク(以下、「フレームワーク」)では、例示的に「財務資本」「製造資本」「知的資本」「人的資本」「社会・関係資本」「自然資本」の6つの資本が挙げられています。
これらの分類はあくまでサンプルです。すべての企業にこの資本の分類が当てはまるわけではない点や、この分類ごとの資本の開示が求められているわけではない点に注意が必要です。
資本の種類 | 内容 | 例 |
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財務資本 | 資金のプール |
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製造資本 | 製品の生産又はサービス提供に当たって組織が利用できる製造物 |
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知的資本 | 組織的な、知識ベースの無形資産 |
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人的資本 | 人々の能力、経験及びイノベーションへの意欲 |
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社会・関係資本 | 個々のコミュニティ、ステークホルダー・グループ、その他のネットワーク間又はそれら内部の機関や関係、及び個別的・集合的幸福を高めるために情報を共有する能力。社会・関係資本には次を含む。 |
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自然資本 | 組織の過去、現在、将来の成功の基礎となる物・サービスを提供する全ての再生可能及び再生不可能な環境資源及びプロセス。自然資本には次を含む。 |
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ここで重要なのは、上記のような組織の内外にある様々な資本の「組み合わせ」です。例えば、ルービックキューブの6面を上記の6つの資本と捉えてみてください。ルービックキューブでは、6面をそろえることが一つのゴールです。一方、統合報告では6つのカテゴリごとに資本を分けて開示する事がゴールではありません。
統合報告では、6面をそろえるのではなく、様々な資本がどのように組み合わされているかを明らかにすることが重要となってきます。
ルービックキューブの6面の組み合わせは、43,252,003,274,489,856,000通りもあるそうです。組織における資本の組み合わせも、組織の数だけ異なるパターンが存在します。その異なるパターンを開示することが、組織の独自性を効果的に開示することに繋がります。