従来型「価値」との捉え方の違い

従来、企業価値とは事業の価値を金額で表したものであり、財務的な価値を中心とした考えが一般的でした。

一方、国際統合報告フレームワーク(以下、「フレームワーク」)では以下の通り、金額に必ずしも換算できないものを含む包括的な価値として捉えており、従来の考え方よりも、より広い範囲の価値を指しています。

 

統合報告における価値の考え方は、売上、利益などの財務パフォーマンスだけでなく、社会的価値を含むより広い範囲を意味しています。

そして、価値とは様々な資本が具現化されたものですが、統合報告の目的においては、それらの各資本を数値的に表現し開示することよりも、長期に渡り価値を創造する組織の能力を評価できる要素そのものを開示することが重要であるとしています。

また、一つの資本をどのように最大化するかについての説明ではなく、様々な資本を考慮することがより長期において価値が最大化されることに触れています。統合報告では、外部性(=経済活動がうむ副次的影響)についても言及しています。

これは必ずしも大気汚染や水質汚染などネガティブな外部不経済をもたらす要因だけでなく、便益や利益になるような外部経済をもたらす要因も含みます。これらの要素が、最終的には財務資本の提供者の「価値の増減」に影響を与えると考えられます。

フレームワークにおいては、「価値」についての明確な定義は載っていません。各組織において、自らの言葉でまずは「顧客や社会に提供したい価値」や「組織として得たい価値」について定義してみることが統合報告書を作る上でのファーストステップになります。