ビックデータから考える投資先企業の選定と株価予測

ビッグデータとは

 

「ビッグデータ」という言葉は、2010年ころから徐々にビジネスの世界においてもキーワードとなってきました。ビッグデータとは、従来扱ってきたデータ量をはるかに超える巨大で複雑なデータとその活用のことです。例えば、インターネット上では、日々膨大な言葉が検索されています。これらをデータとして蓄積し、消費者ニーズの先取りや商品開発に活用します。

 

投資の世界においても、このビッグデータを投資判断に活用するという動きがあります。例えばビックデータは、過去の株価データを分析することに使われます。また、ネット上にあふれる言葉やブログでの行動などで消費者ニーズを先取りします。そして、将来のニーズにあった商品やサービスを提供しそうな関連企業を絞り込むことにも使われます。いずれも、将来の株価予測のためにビッグデータが活用されています。

 

インターネットの普及で、人の想像を超える量のデータを入手することができるようになりました。また、IT技術の革新でそれらのデータを管理・分析することが容易になりました。

 

ここで、あらためて「データ」とは何かについて確認したいと思います。

 

データと情報の違い

 

まず「データ」とは、整理されていない事象や事実の羅列です。それらは「点」で存在しています。一方、「情報」はそれらデータを加工して有益なものに転換したもののことです。

 

例えば、データを何らかの切り口で分類してパターンを見出したり、系統づけてデータに意味を与えたりします。情報はデータが「つながり」のある形で存在しています。

 

ビッグデータは、それ自体にはあまり意味がありません。どのようにデータを情報に転換して、分析や意思決定に役立てられるかが重要です。しかし、データが急速に増える一方で、情報を翻訳して意思決定に役立てる能力は「進化していない」「むしろ退化している」とすら言われています。

 

データを情報に転換する際に重要なのが、データからできるだけ「ノイズ」を取り除くことです。

 

シグナルとノイズ

 

データの中には、「シグナル」と「ノイズ」が混在しています。ノイズとは「雑音」です。例えば、「動画の撮影後に再生したら雑音が入っていた」ということはありませんか?このような場合は、ソフトを使い雑音を除去することによって内容がクリアに聞こえるようになります。

 

この動画の内容があなたにとって「重要」なシグナルと捉えると、そのシグナルを捉えるためにはノイズをまず排除しなければなりません。

 

ビジネス上のデータに含まれるノイズは、ビデオ再生時の雑音と違い実際には音を出して教えてくれません。そのため、シグナルをノイズとして捉えたり、また逆にノイズをシグナルとして認識したりしてしまう、といったことが多々あります。

 

膨大なデータであればあるほど、ノイズは多くなります。ビックデータに頼りすぎるのは危険です。また、ノイズを排除したうえで、有益な情報に転換しただけでは十分ではありません。情報にしたその先にある「投資家の情報を翻訳する能力」が、企業の将来の予測を左右することになります。

 

データが転換された情報と、投資対象企業の「ビジョン」「理念」「戦略的目的と戦略」「ビジネスモデル」「ガバナンス」との整合性や一貫性を確認して、長期的かつ包括的に企業の将来を予測することが重要です。