企業の「成長性」を知るための財務指標とは

  • 「売上」は企業と顧客との接点を表す

 

企業の積極的な投資は、企業が将来にわたり成長していく上で重要です。また、投資家にとって、企業が適切に資本配分を行い、将来リターンを確実に生み出していけるかどうかは関心が高いでしょう。

 

企業は、その期に生み出された利益の配分先として、将来のため投資に回すか、株主に還元するかという選択を行います。その意味で、投資家にとっては「利益」が企業との接点となり、最も関心が高くなる項目といえます。

 

経済が成長から成熟の時代にシフトしたこともあり、規模を拡大してもなかなか利益を生み出せない状況にある企業が多いのも事実です。このような状況も、投資家が売上よりも利益を重視するきっかけになったと考えられます。

 

利益を増やすためには、本業で稼ぐことが大前提です。本業で稼ぐには、お客様との接点である「売上」を伸ばすほかありません。つまり、投資家は、利益だけでなく、売上が伸びているかも合わせて捉える必要があります。

 

  • 売上高成長率

 

売上に関する財務的な指標の一として、売上が伸びているかどうかをあらわす「売上高成長率」があります。「売上高成長率」を用いるメリットについて以下にくわしくみていきましょう。

 

  • シンプル

 

「売上高成長率」は、以下の計算式で求めることができます。

売上高成長率=(当期の売上高-前期の売上高)÷前期の売上高

例えば、以下の例では、売上高成長率は20%となります。
2014年売上高 3000億円
2015年売上高 3600億円
売上高成長率=(3600-3000)÷3000=20%

 

 

この「売上高成長率」を使う事のメリットの1つは、上記の計算式からも分かる通り、「シンプル」であることです。また、売上高の数値を取ってくる際にも、損益計算書の一番上にあるため見つけやすいです。

 

企業を分析するための財務指標は、複雑なものもたくさんあります。しかし、複雑なものほど分析における有効性が高いというわけではありません。

 

投資家にとって重要なのは、戦略やビジネスモデルと関連付けて、指標が発しているシグナルを受け取れるかどうかです。「売上高成長率」はシンプルなだけでなく、「企業と顧客との接点」を表す重要な指標です。

 

  • 市場の成長率との比較

 

メリットの2つ目は、市場の成長と企業の成長を比較できるという点です。例えば、市場が30%で伸びているにもかかわらず、企業の「売上高成長率」が20%の場合、市場が伸びているスピードに企業の成長が追い付いていないことを意味します。

 

複数の事業を展開している企業においては、事業ごとの情報である「セグメント情報」もチェックしましょう。事業ごとの売上高が分かれば、より正確な比較を行うことができます。
 

  • 継続性はあるか

 

メリットの3つ目は、企業の成長が一過性のものであるか、継続性のあるものなのかを判断できるという点です。この場合は、複数期間の売上高成長率の推移を把握する必要があります。

 

一定の成長率を保つことができていれば、戦略やビジネスモデルが強みとなっていることの証明となります。一方、何らかの要因で急成長を遂げても、それが一過性のものであれば、数値の背後にある戦略やビジネスモデルが本質的に機能したとは言えません。

 

また、売上高成長率がゼロ、またはマイナスの場合は、成長が「停滞している」「低迷している」と判断することができます。

 

以上のように、「売上高成長率」という財務指標は、シンプルで使い勝手がよく、重要性も高いことから、投資家が企業を分析する際にぜひ活用したい情報です。

 

その際には、「何と比較するか」「継続性はあるか」という視点で、戦略やビジネスモデルについての記述による説明とあわせて捉えていくことが大切です。