社内コンセンサスを得てKPI設定のプロジェクトを円滑に進める

▼KPIについての社内コンセンサス

ビジネスにおけるさまざまなプロジェクトをスムーズに進めるためには、事前に社内の関係者からコンセンサスを得ることが重要です。しかし、年齢も性別もバックグラウンドも異なる人で作られる組織内では、特定のコンセプトについての認識や理解を共有し、社内コンセンサスを得ることは簡単なことではありません。

特に、共有すべきコンセプトに対して、多くの方がネガティブな印象を持たれていたり、実際に苦い経験とリンクづけられている場合はなおさらです。

「KPI」、「数値化」、または「業績指標」といった言葉を聞いた時に抱く感情は、どのようなものでしょうか?ポジティブですか?それとも、ネガティブでしょうか?

企業の重要なパフォーマンス指標であるKPI(Key Performance Indicators)の設定は、多くの人がネガティブに捉えている人の方が多いと言えるでしょう。ネガティブに捉えられているために、KPIを設定することに対して社内コンセンサスを得ることが難しいのです。

▼KPIを設定する際の壁

組織の中で、個人のパフォーマンスについて数値で管理されてきた経験がある場合、KPIなどの数値化に対してネガティブな印象を持っていることが多いです。例えば、個人のパフォーマンスの成果が、給与に反映される場合など、苦手意識以上に恐怖にすら感じる人もいます。

学校教育においても、多くの人は、学力について5段階評価を通じて数値化されてきました。それによって、クラスにおける相対的な位置づけが決定されます。

これらの経験のなかで、苦手意識、恐怖感を持っている人は少なくありません。そのような苦手意識や恐怖心を解除することなしに、最新の手法やテクノロジーを採用しても、適切なKPIを設定し、運用していくことは不可能です。

▼当事者意識

会社と個人にとって本当に意味のあるKPIを設定し運用しようとする場合、社内における当事者意識が非常に重要です。しかし、人事考課のためだからという意味で当事者意識を高めても逆効果です。

成果主義に代表されるように、会社の業績と個人の評価を連動させるとある問題が生じます。それは、ターゲット値を低く設定し、達成度を高く見せるといったネガティブなインセンティブが働くことです。これにより、会社の業績は悪化していきます。

また、外部の標準化されたKPIを安易に採用してしまうと、社内における当事者意識は低くなります。当事者意識が必要ないからです。

真に意味のあるKPIを設定するためには、KPIについての社内コンセンサスを得て、当事者意識をもってもらうことが必要です。そのためには、KPIを設定する本当の目的や適切な使い方を理解するための社内ダイアログなどを開催し、関係者の理解と協力をえるようにしましょう。