企業は、売上、利益、顧客満足度といったパフォーマンスを継続して改善していくことが求められています。
継続的な改善のためには、パフォーマンスの状態を数値に落とし込み改善度をモニターすることが大切です。パフォーマンスを数値に落とし込んだ指標は、KPI(Key Performance Indicators)と呼ばれています。
パフォーマンス指標であるKPIを改善していくためには、さまざまな人から数値の正しい解釈の仕方や、改善のための取るべきアクションについてのフィードバックをもらうことが効果的です。
フィードバックを効果的にパフォーマンス改善につなげるために、今回はフィードバックのあり方について見ていくことにしましょう。
フィードバックの形
「学習する組織」という理論を広めたシステム思考の大家であるピーター・センゲは、フィードバックについて「インプットとシステムからのアウトプットの互恵的効果、つまり、ループ・バック(一巡して戻る)効果である」と表現しています。
つまり、フィードバックとは、一方通行ではなく、環状道路のように「ループ」になっていることです。フィードバックする側と、それを受け取る側における互恵的な関係を構築することが大切です。フィードバックを「ループ=輪」としてイメージしてみましょう。
うまくループを構築することができれば、無駄な情報の渋滞を解消し、効果的なフィードバックにより、継続的なパフォーマンスの改善につなげることができます。
フィードバックをどう「受け取る」か
フィードバックがループではなく、一方通行で終わってしまうことが多々あります。その理由の一つには、フィードバックをうまく受け取ることができないといった課題が挙げられるでしょう。
私たちの多くは、フィードバックが重要であることは認識しています。しかし、「どのようにフィードバックを受け取るか」については、あまりトレーニングを受けてこなかったからです。
例えば、人事考課の際には、どのようにフィードバックを行うかについてのトレーニングはさまざま用意されています。しかし、それをどのように「受け取るか」についてのトレーニングを受けたことはあるでしょうか?
フィードバックには、ポジティブなフィードバックとネガティブフィードバックがあります。ここで注意しておきたいのは、ネガティブなフィードバックは、必ずしも「批判」ではないということです。
例えば、ネガティブなフィードバックとは、パフォーマンスが低下している際に、現行のプロセスにおける不適切なプロセスを指摘し、改善要求がある場合です。ここで重要なのは、個人に対する「批判」ではないという点です。
日常のコミュニケーションの中でも、受け取り方によっては、善意ある指摘でも悪意ある批判と捉えてしまう事もあります。価値あるフィードバックを見過ごさないためには、受け手における適切な受け止め方がとても重要なのです。
ループ=つながり
フィードバックを行う側の人は、パフォーマンス指標であるKPIの良し悪しを「判断(=ジャッジ)」してしまうことがあります。
また、フィードバックを受け取る側は、単なる批判とネガティブなフィードバックを混同してしまうことがあります。このような場合は、ループが途中で切れてしまう可能性が高いと言えます。
フィードバックを依頼する際には、達成したい目的(例えば、顧客満足度を高める)とパフォーマンス指標であるKPI(例えば、顧客満足度)が「関連」しているかどうか、「適切」であるかどうかという観点からフィードバックを行ってもらうようにしましょう。
パフォーマンス改善のための「包括的・客観的な視点」を受け取るためには、さまざまな利害関係者にフィードバックを依頼する必要があります。
以上のように、フィードバックは、「ループ」であることが重要です。パフォーマンス指標であるKPIの改善という目的を達成するためには、フィードバックの依頼先である協力的な利害関係者を見極めることや、適切な受け取り方を理解しておくことが大切です。