価値創造の詳細情報

今回は、「結合性」という概念の構成要素の一つである「情報」のつながりに焦点を当て、「価値創造の詳細情報」とは何か?について考えてみたいと思います。

すでに、こちらの記事(「価値創造の全体像」)では、サッカーの試合を例に組織の情報開示における「全体像」の重要性について確認しました。引き続きサッカーの試合を想像してみてください。

サッカーの試合では、テレビでも競技場でも、重要なプレーについて各場面をズームインした形で見ることが出来ます。

ゴールを決めたとき、レッドカードやイエローカードなど反則があった時、華麗なパスが成功したとき、想定しないようなパスミスがあった時、ハーフタイムの監督や選手の表情などなど。

試合の全体像だけを見ていると、上記のような細かい部分は見えてきません。サッカーの試合におけるこれらの細かい部分は、組織においても同じで、事業戦略と業績、不祥事があればその内容と理由・事後の対策、商品やサービスのヒットにつながるマーケティング戦略、外部環境の変化、経営者や従業員の強み・弱みなど、価値創造において重要な「詳細情報」があります。

サッカーの試合を観戦している際には、テレビ画面や競技場での大きなスクリーンで、全体像と詳細な場面の往復運動がなされています。従って、統合報告書を作成する上でも、全体像と詳細事項へのズームイン、ズームアウトの往復運動が必要となります。

別の例でいえば、Googleマップやカーナビなどの地図で目的地を探すときに、拡大したり縮小したりしながら目的地を把握する状況を考えてみてください。

地図では詳細度を調整できるスケールバーがあることによって、拡大と縮小の往復運動ができ、現在地と目的地を見失わずに済むことができます。

同じように、全体像だけでは詳細は見えづらく理解しにくくなり、詳細情報だけでは全体像を捉えることが困難になります。

そのため、常に全体像とのつながりを明確にし、また全体像と詳細情報との往復運動が容易にできるように情報の提供の仕方についても工夫が必要です。