貸借対照表で資金の調達(出所)・運用(使い道)を視覚で捉える

貸借対照表(バランスシート)とは

 

企業の実態を財務的な観点から評価するとき、まず準備しなければならないのは財務三表です。財務三表とは、貸借対照表(バランスシート)、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つです。

 

企業の事業活動を実質的に動かすための最初の一歩は「資金の調達」(資金の出所)であり、その次が「資金の運用」(資金の使い道)です。そのため、資金調達・運用に関連する貸借対照表について押さえていくことにします。

 

貸借対照表の基本形は、「資産」「負債」「純資産」の3でできています。図にすると、以下のように間取り図のような形になります。そして、3つの部屋の位置関係は常に一定です。

 

左側の資産(Room A)の合計と、右側の負債(Room B)および純資産(Room C)の合計は一致します。つまり左右の部屋はバランスがとれているため、貸借対照表はバランスシートとも呼ばれています。

 

資金を調達する

 

「資金がどのように調達されたか」を確認するには、右側の負債(Room B)および純資産(Room C)を確認します。一方、「調達された資金がどのように運用されているか」を確認するには、左側の資産(Room A)で確認することができます。

 

つまり資金の「入り口」は、右側の上下の部屋のいずれかからとなります。

 

 

負債(Room B)の入り口から入ってくる資金は、銀行からの借入や社債など、元本に加えて利息の返済が必要な資金になります。一方、純資産(Room C)の入り口から入ってくる資金は、株主・投資家からの資本金がメインとなり、これは返済する必要の無い資金です。

 

負債(Room B)と純資産(Room C)の位置関係は一定ですが、広さの比率は企業とバランスシートをみるタイミングによって変わります。もしビジネスがうまくいかず、借入金の返済ができなくなった場合、企業は倒産します。そのため、返済不要な資本である自己資本の比率をある程度確保しておく必要があります。

 

自己資本比率=純資産÷(負債+純資産)

 

企業や業種または戦略によって適正な比率は異なりますが、一般的な平均は20 %~30%程になります。

 

資金を運用する

 

 

負債(Room B)と純資産(Room C)で調達した資金は、今度は左側の資産(Room A)に移動し、運用していきます。

 

調達した資金は、「現金・預金」、提供した製品やサービスに対して将来受け取る約束としての「売掛金」、将来販売を予定している「製品」「仕掛品」「原材料」、製品やサービス提供に必要な設備などの「固定資産」、事業に必要な「投資」などに形を変えて運用されています。

 

これらは、流動性という観点から資産(Room A)で分類されます。流動性とは、「現金になるのにかかる時間の長さ」で判断します。流動性が一番高い現金から順番に、上から並べます。

 

以上のように、バランスシートを使う際は、単なる数値情報としてとらえるのではなく、「お金の流れはどのようになっているのか」「どのようなプレーヤーがいるのか」「どのようなものがレイアウトされているのか」といった情報を五感を使いバランスシートを視覚化して捉えるとよいでしょう。