損益計算書で企業の利益までの道筋を確認する

損益計算書とは

 

企業の実態を財務的な観点から評価しようとするとき、まず準備しなければならないのは財務三表です。財務三表とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つです。

 

企業がどのくらい儲けたかについて知るには、損益計算書の「利益」を確認します。企業はどのくらい儲けたかについて、利害関係者へ1年に1度報告する必要があります。本来、企業の戦略や事業活動は一年単位で動いているわけではありませんが、利害関係者への報告のため、事業活動をどこかで無理やり一年に区切る必要があります。

 

日本では3月を決算月としている企業が多く、損益計算書における利益の計算も4月から翌3月を一年として区切った期間を対象としているところが大半です。一方、海外では1月から12月を損益計算書の対象期間とする企業が圧倒的多数となっています。

 

損益計算書とは、企業活動のある一年を切り取って、その期間にどのくらいの利益が出たかを確認するための報告書です。

 

損益計算書の仕組み

 

損益計算書の基本の形は以下の通り、3つの構成要素に分けることができます。

 

 

さらに、企業の利益までの道筋をより明確にするために、上記の基本形を細分化し、以下のようにいくつかの足し算と引き算を繰り返し行います。

 

 

売上高や原価など、それぞれの項目の計算方法は別途複雑な会計処理が必要です。一方、損益計算書の構造自体は非常にシンプルで、基本的には足し算と引き算だけで利益を計算することが可能です。

 

見るべきポイントを絞る

 

損益計算書を使う際には、細かい数値よりも、まずは見るべきポイントを絞って、「売上の規模感」や「利益までの道筋にある特に大きな障害物は何か」を可視化して捉えます。

 

そのための最初のステップは、トップラインとボトムラインを確認することです。 トップラインとは損益計算書の一番上に位置付けられている売上のことです。一方ボトムラインとは、損益計算書の一番下にある利益のことを指します。

 

企業の目的は利益を生み出すことがメインではありません。しかし、企業が存続していくために必要不可欠な要素の一つであることは間違いありません。そのため、損益計算書を使うことによって、利益という数値のみではなく、企業の戦略の内容や過去の結果と比較し、その規模感や利益までの道筋に矛盾や違和感がないかを確かめることが大切です。